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テキスタイル&ファッション誌(メールマガジン)バックナンバー
テキスタイル&ファッション Vol.11 (1994)
Vol.11/No.1~12
(1994年4月号~1995年3月号)
1-ファッション情報 | No. | 月 | 頁 |
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'95春夏FDCテキスタイルコレクション開催 | 1 | 4 | 1 |
'95春夏FDCテキスタイルコレクションの提案(要旨) | 1 | 4 | 3 |
コレクションにみるテキスタイルの重要性 | 2 | 5 | 61 |
いまこそメンズ業界は、ビジネスウエアの“ニッチ”を狙うべきである | 3 | 6 | 118 |
生活者との共感構造こそが、新しいビジネス体系を創造する | 4 | 7 | 175 |
ファッションアパレルにおけるブランド・デザイン知識の体系化 | 5 | 8 | 236 |
“平成不況”の展望 -景気回復の遅れとファッション企業経営の行方- |
6 | 9 | 306 |
'95/'96FDCテキスタイルコレクション開催 | 7 | 10 | 365 |
成熟のスタイリング時代 | 8 | 11 | 447 |
ジャパン・テキスタイル・コンテストの成果を点検する | 9 | 12 | 505 |
第3回 FDCアパテックス展示・説明会を開催 | 9 | 12 | 511 |
'95年はネットワーク新時代の幕開け -消費者中心のQR、期中フォローヘ- |
10 | 1 | 575 |
パリ、ミラノ、ニューヨークコレクションの近況 | 11 | 2 | 631 |
'96春夏FDCテキスタイルコレクション開催 | 12 | 3 | 682 |
2-研究報告 | No. | 月 | 頁 |
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毛織物における先染織物の設計支援エキスパートシステムについて | 1 | 4 | 8 |
スタイル画の立体表現手法 | 2 | 5 | 65 |
織物表面凹凸の画像検査技術 | 3 | 6 | 123 |
防縮加工毛糸の均染化技術 | 4 | 7 | 179 |
自己伸長縫糸の開発 | 5 | 8 | 243 |
次世代ウールに関する研究(1)ストレッチ糸の開発 | 6 | 9 | 312 |
次世代ウールに関する研究(2)高通気性毛織物の開発 | 6 | 9 | 324 |
次世代ウールに風する研究(3)軽量ストレッチ性毛職物の開発 | 6 | 9 | 331 |
次世代ウールに関する研究-高品位性毛織物・編物の開発- | 7 | 10 | 371 |
裁断くずの再利用に関する研究 | 8 | 11 | 451 |
チーズ乾燥作業の省力化・適正化 | 9 | 12 | 513 |
毛糸の短時間染色の実用化 | 10 | 1 | 579 |
ポリアクリル酸グラフト共重合毛織物のハイグラルエクスパンション性 | 11 | 2 | 637 |
経通し要素技術の開発 | 12 | 3 | 690 |
5-調査報告 | No. | 月 | 頁 |
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愛知県繊維産業実需対応システム調査(1) | 4 | 7 | 195 |
愛知県繊維産業実需対応システム調査(2) | 5 | 8 | 264 |
愛知県繊維産業実需対応システム調査(3) | 6 | 9 | 339 |
6-シンポジウム報告 | No. | 月 | 頁 |
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尾州フォーラム報告(1) | 7 | 10 | 402 |
尾州フォーラム報告(2) | 8 | 11 | 466 |
尾州フォーラム報告(3) | 9 | 12 | 526 |
尾州フォーラム報告(4) | 10 | 1 | 599 |
尾川フォーラム報告(5) | 11 | 2 | 651 |
8-資料 | No. | 月 | 頁 |
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依頼試験、技術相談・指導の動向(1) | 2 | 5 | 109 |
依頼試験、技術相談・指導の動向(2) | 3 | 6 | 166 |
染色仕上関係海外文献情報(17) | 4 | 7 | 225 |
10-その他(新設機器紹介) | No. | 月 | 頁 |
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新設機器紹介 | 1 | 4 | 27 |
コレクションに見るテキスタイルの重要性
ファッションジャーナリスト 藤岡 篤子
この「テキスタイル&ファッション」の愛読者の大多数の方にとって、パリやミラノのコレクションは、およそ現実感のない出来事であろう。
舞台の上で繰り広げられるショーは華やかなだけで、直接売れ筋やテキスタイルの開発に結びつく事は少ない。
あるとは思うがとりあえずそれほど重要視しなくても良い。そんな風に受けとめている方が多いのではないか。確かに、ショーアップされた面だけを見ると、そう思いたくなる部分もある。
特に、80年代の後半、世界的な好景気を背景にコレクションはスペクタクルと化した感があった。サーカス小屋、特設テント、大劇場、スーパーモデルが芸能人並みの人気となり全てが大型で豪華なものに変わっていった。
しかし、そんなバブルな時代はもう終わりだ。コレクションは、個性を生かす会場設定やスケールとなりほどほどの身の丈サイズが現在のコレクションの主流となつつつある。
このところ、アントワープの5人を中心として欧州では若手の台頭が著しい。彼等の特徴は、自分が最も作りたい作品を商品としているところだ。
だから手作り感覚でスタートとし、結果的に量産に結び付いても、その個性的でマイナーな雰囲気はそのままとどめている。
そして、カジュアル化の波に乗って彼等のパーツ主体のコーディネート、全体のシルエットより、単品のデザインを重視する傾向は、いまやファッション全体を支配するトレンドになってきている。
そして、そのパーツコーディネートを従来の単品コーディネートの持つ「お手軽なカジュアル」とはひと味異なる「トレンド」に仕上げているのは、実はテキスタイルの成果なのである。
テキスタイルの果たす役割は、常に大きい。
いまこそメンズ業界はビジネスウエアの“ニッチ”を狙うべきである
ファッションジャーナリスト 福永 成明
約3兆円といわれるメンズ市場だが、そこでの“主役”は、やはり背広である。総務庁の家計調査でメンズウェアをみると、1世帯当たりの購入金額でトップとなるのは「背広」。
これに次ぐのが「他のシャツ」で、以下は「ズボン」「セーター」「ワイシャツ」「替上着」「コート」の順である。ここでいう「他のシャツ」とは、ワイシャツ以外のシャツをさしたもので、いわゆるカジュアルシャツとみていい。
その“主役”が、このところ時代変革の波にもまれ、とりわけ価格をめぐっての攻防が白熱化している。だが、振り返ってみれば、背広の価格は過去何度となく論議のマトになってきた。
そこに共通しているのは、不況になると、“安売り商法”がクローズアップされる、ということで例えば'70年代初頭のオイルショックのときにも、ディスカウンターが台頭した。
そのとき話題となったのが流通卸売センタ一(ROC)で、同社は今日でいうSPAによって、市価の半値近い価格を打ち出し、あっという間に全国チェーンを築きあげた。
その勢いで映画会社の日活を買収し、映画館と紳士服を合体する、という構想まで生み、大いに注目された。
こうしたディスカウンターは、同社にかぎらず、九州ではホラヤという専門店が急成長を遂げる一方、在来専門店も「もう1着タダ……」という荒っぽいビジネスで対抗。ことほどさように、背広は景気の影響を受けやすいアイテムであり、不況になると価格がクローズアップされる、という“習性”をもっている。
これは恐らく、背広がワークウェアという機能をもっているからなのかもしれない。そのことは、会社訪問に行く大学生のスタイルをみれば分かる。
主な項目
・ヤングに多いビジネスウェアの保守勢力
・職種の広がりに対応していないビジネスウェア
・ノンスーツビジネスウェアとは
生活者との共感構造こそが新しいビジネス体系を創造する
山村貴敬研究室 プランナー 山村 貴敬
本誌「テキスタイル&ファッション」の93年7月号で私は、“ファッション産業の基準は大きく変貌する”というレポートを記述した。
ファッション産業は、その黎明期であった60年代から4半世紀を経過した今日、生活者サイドの消費意識と産業側の間に大きなズレが発生しているが、それを抜本的に解決するには、CS視点によるビシネスの再構築が必要であると述べた。
本稿では、CS視点のビジネス再構築をするには、一体どういった方向でマネジメントを遂行すべきか、どのように戦略化すればよいのか、過去の4半世紀を乗り越えた新ビジネス体系創造のあり方を検討する。
主な項目
■ストリートカジュアル業態に見る共感構造
昨年来、代官山キャッスルストリートや大阪アメリカ村などを皮切りに、ストリートカジュアル業態がリテールシーンで急成長した。
ストリートカジュアル業態のMD特性は、
・ライフスタイル・エクイップメントとしての雑貨の充実・手作り要素を感じさせるインパクトの強いオリジナル商品開発
・古着を含めた国際的なバイイング
にある。すなわち、(1)国の際を超えた国際性と、(2)オリジナル・ライフスタイル提案力にその共通項を見ることができる。
■共感構造の基本は感動の商品化
■感動の流通は、CS経営の必要条件
■マルチメディア時代こそ、ショップがメディアとなる
■5つの勘違いの克服
ファッションアパレルにおけるブランドデザイン知識の体系化
-コンカレント・エンジニアリングの適用-
宝塚造形芸術大学 教授 菅原 正博
ファッション・アパレルにおけるブランド・デザイン知識の体系化
「アパレル・マーチャンダイジング」から「ブランド・デザイン」ヘ
ファッション・アパレル業界は、1970年代はまさに急成長の時代であった。この時代に、消費者のファッションに対する多様な要望に応えるためにアパレル・メーカー側のブランド開発が積極的に行われた時代である。
特にアパレル企業では、商品企画の単位が、ブランド単位で、行われるようになり、ブランド・マネジメントが確立した時代であったともいえる。
1980年代に入ってからは、東京コレクションに参画しているデザイナー・ブランドが注目されるようになり、ファッション・アパレル業界のブランド・ビジネスはメーカー・ブランドからデザイナー・ブランド時代へと移っていった。
1980年代の後半になって、急速な円高の影響も手伝って、欧米のインポート・ブランドが我が国の市場に本格的に参入してきた。
1990年代に入ってくると、バブル崩壊と長期的な不況に直面して、消費者のファッション・アパレル意識が大きく変革しはじめた。
特にメンズ・アパレルを中心に「青山商事」や「アオキインターナショナル」といったロードサイド・ショップが、この不況にも関わらず、激安を武器に快進撃を続けたために、なお一層、消費者は、価格意識を強めるようになった。
こういった「カテゴリー・キラー」の進撃にかなり市場シェアを奪われた百貨店や量販店は、消費者の要望する価格帯に応えるために、自ら商品企画を立案して対応するようになった。
その意味では、1990年代は、小売り主導型の「プライベート・ブランド」が主流を占めるようになってきている。
このように、ファッション・アパレル業界の商品企画は、単にアパレル商品という洋服を企画するのではなく、それをブランドとしてアイデンティティさせるイメージを企画する力が要求されてきた。
いいかえれば、単なる洋服を企画する「アパレル・マーチャンダイジング」からブランドを企画する「ブランド・デザイン」ヘと企画の方法論を変革する時代にきている。
“平成不況”の展望
-景気回復の遅れとファッション企業経営の行方-
上武大学商学部 教授 土田 貞夫
依然として出口の見えない厳しい不況が続いている。“景気はもうすぐ回復する”と言われ続けて1年以上が過ぎているが、今だに回復の兆しは見えない。
人々の不安と焦りの中で、不況に関する議論は百出、悲観論あり楽観論あり、まさに百家争鳴の有様である。
93年度の経済成長も実に実質▲0.1%のマイナス成長となった。一体どうなっているのか、何が原因なのか、ファッション産業としてはどうしたらよいのか。
正解は全く霧の中であるが、ともかく不況の現状を分析し“平成不況”下での企業経営の行方を考えてみたい。
--- 経営トップはどのように見ているか ---
日経新聞によるアンケート(平成6年3月28日)によると、経営トップは次のように考えているようである。
まず景気の動向と企業収益については、94年度下期には回復するとみている。しかし業界によってかなり見方は異なり、百貨店などでは消費の回復が遅いとし、むしろ「景気は底ばい」とする見方も多い。
政府の対応については所得・住民税減税を中心とする総合経済対策は評価しているが“遅すぎた”と指摘されている。
また減税の背景となっている税制改革についても「長期的には直間比率の見直しによる間接税の増税は必至であるが、早急の消費税の増税は消費をさらに冷え込ませるだけである」とする見方を示している。
そして、本当に必要な対策は“規制緩和”であって「規制緩和が進めば物価水準は国民福祉税の税率以上に下がる」という意見も多い。
しかし、民間が必死にリストラを進めているのに官僚は減らないなど「行政が肥大したままなのはおかしい」と、行政改革を強く求めている。
円と株の動きについては、為替水準は1ドル105円から110円の範囲と見、株価についは2万円前後の水準のまま推移するとする意見が圧倒的であった。
しかし現実は、株価はともかく、為替水準はいとも簡単に1ドル100円を越えてしまった。
そうした中で企業の体質改善は徐々に効果を上げているとしているが、その方向は人件費などの固定費抑制といった「後ろ向き」対策が中心であり、設備投資の抑制、海外調達による原材料価格の引き下げ、販売コストの削減、雇用調整などにとどまっている。
設備投資についても、企業の姿勢は一段と慎重であり、製造業中心に94年度も低迷すると見られしている。
こうした経営トップの見方には、かなりの希望的観測も含まれると考えられるが、回復への期待と厳しさへの実感とが交錯しているのが実情ではないか、と見られる。
成熟のスタイリング時代
株式会社TCカンパニー 代表取締役 十三 千鶴
東京アイビー、ロリータ、フェミ男、60年代調、プレスリー、このところ話題となっているおしゃれは、ストリート発の若者ファッションといえますが、主役は団塊ジュニアーそして団塊ジュニアーの妹、弟達といえるでしょう。
今、百貨店MDをにぎわしているのはこうした世代に焦点をあてた新しい売場づくりです。
低迷現象が続くなか、時代の新風を吹きこむことで全体の活性化につなげようとしている所が多い様ですね。ファッション・ビジネスは、常に時代の変化をさぐりどう具体化するかがポイントといえますが、ヤングの動向は最も的確に時代を現わしています。
そこで今回は、次シーズンのMDを考えるうえでのヤングマーケットの変化、またバブル崩壊後の生活者の意識変化及びファッション動向についてさぐってみたいと思います。
さて、最近、ごく身近な所で時代の変化を実感されるケースが多いと思いますが、今、若者達の新しいルールは、従来の常識を大きくかえつつあります。
たとえば、今シーズンのヤングマーケットのキーワードをあげてみると、
1.セックスレス
2.アンチタブー
3.オルタナティブ
4.マニアック
5.ロリータ
セックスレスは承知の通り、男女の区別がなくなった、たとえば今年の夏、街で、よくみかけた光景ですが、男の子がスカートをはいていたり、ピタピタの女性物のTシャツを着ていたり、また、女の子がメンズもののTシャツ、パンツ、靴をはいていたり男女とも体操服かと思える紺のライン入りTシャツを着ているといったファッションが多かったようですが、ライフスタイルそのものも男だから、女だからと決めつけられない生活スタイルが一般化しています。
2番目のアンチタブーも同様、従来の常識と対極に位置する考え方、いわゆる、タブーといわれ続けてきた物事が、注目され、話題を呼び、ビジネスにつながるといった現象がファッション分野ではクローズアップされています。
具体例として、たとえば黒のレース、黒のシースルー素材、従来は、夜または、フォーマル用として使用された素材といえますが、これがデイタイムの街着用にしかもカジュアルに、スニーカーと組合わせたスタイルでごく普通のお嬢様がファッションとして楽しんでいるわけです。
また色でいえば白、日常品の白、水着の白、秋冬ものの白、ビビットカラーでは黄、赤、グリーンなど一般的には最も売れにくいとされていた色が売筋になるなど視点を変えなければ理解できない。
策8回 ジャパン・テキスタイル・コンテスト成果を点検する
--繊維産地活性化の鍵としてさらに強化を--
現代構造研究所 所長 三島 彰
産地防衛の砦としてのコンテスト
尾州産地が主導するジャパン・テキスタイル・コンテストは、94年で第3回を迎え、いよいよその骨格を固めるに至ったことは、慶賀に堪えないことである。
永いことためらっていた通産当局が、ついにMFA発動の基本方針を決断したことに示されるように、海外繊維製品の洪水のような流入は、場合によってはわが国千年の伝統をもつ繊維産業を、崩壊に導くのではないかとの危惧を抱かせるほどに激しいものがある。
この政府の方針を報道した一部の新聞に、この施策が海外縫製、海外輸入の自由な展開の妨げになりはしないかという、輸入関係業界の感想を併記していたのには、唖然とさせられた。
恐らくは賛否両論を掲載するという報道の建て前に基づく紙面作りだったと推測するが、世界に類例のないほどの自由な輸入が認められているなかで、コットンに至ってはすでに8割のマーケットが奪われているという危機的な状況下に、極めて限定的な貿易制限を行うこともあり得るという遠慮がちな政策に、あえて異論を申し立てる意見が、業界内部に真に存在しているとは信じられないことである。
もし、そういう意見をもつアパレルや輸入業者が、もし万一存在しているとすれば、そういう人たちは、優れた国産素材と、信頼に値するそのデリバリーあればこそ可能になっている優れたアパレル企画とは、まったく無縁の世界に住んでいるわけで、もはや一体感に生きる業界仲間として遇することはできないだろう。
勿論、やがてはMFAも廃止される完全自由化も迫っているとすれば、このような措置に業界の命運を賭けることができないのはいうまでもないことであり、輸入に対抗し得る優れた素材を適切なコストで生産する倍旧の努力が、これまで以上に要請されていることは当然のことである。
ジャパン・テキスタイル・コンテストは、このような課題に取り組み、そのような業界気運を推進することを、何よりの使命として発足したものであることを、ここであらためて宣言したい。
95年はネットワーク新時代の幕開け
繊研新聞社編集部 東京本社デスク 山崎 光弘
産地防衛の砦としてのコンテスト
引き続く消費不況の中、ファッションビジネスは新しい時代にはいった。生活情報をいかに早く、正確に店頭に反映できるか、といったシステム構築が今後の企業成長力の鍵をにぎってきた。
繊研新聞社では95年を「ジャパン・クオリティー(JQ)」、「ネットワーク新時代」と位置付けて、業界の活性化を考えている。
レナウンの低迷
日本のアパレル企業売上高の上位50社は、レナウンの2,039億円を筆頭にオンワード、樫山、イトキン、三陽商会、ワールド、ワコール、グンゼ、ナイガイの8社が1,000億円超となった。
しかし、レナウンの赤字決算が続いているのに代表されるように、1、2の例外を除いて大幅減収の基調が続いている。
また、利益面でも、東京スタイルを除き、最高益には程遠く、売上高で89年当時にまで後退、というのが上位企業に共通した特徴である。
500億円超、1,000億円未満の大手アパレル第2グループ(18社)も内情は同じである。
上位50社中、グループ決算を除き6社が経常利益ベースで赤字を計上する最悪のパターンとなった。
レナウンは、94年11月4日、400人もの希望退職に踏み切ることを発表。10日には来期からの社長交代を明らかにするなど電撃的なニュースが相次いだ。12月末まで締め切られた希望退職者は600人を超え、衝撃の大きさを物語った。
レナウンが打ち出した“第2次再建策”は
(1)現状の売り上げ利益(690億円)に見合う額まで経費を削減する
(2)企業体のスリム化、活性化に向け、諸施策を断行する
の2点に集約できる。
第1点の経費削減は一般人件費で希望退職を募り、96年1月末までに自然減、関係子会社への出向を含めて約700人、70億円を削減しようというもの。これにより販管費の790億円を690億円にまで引き下げる。
人件費70億円、残る30億円を店頭販売員の見直し。物流費、宣伝費など諸経費の削減でカバーする。販管費690億円で、売上高は現状維持の1,000~1,100億円程度の“縮小均衝”に転換する。
また、第2点めのスリム化、組織活性化については新人事制度を96年2月1日付で実施する予定。同制度は、現在、労使で構成する“人事制度委員会”が中心となり、役員定年制、職群、地域差による貸金複数レート、役割給導入を含む給与・賞与制の改定、人事考課制度の見直しなどを詰めて行く。
毛織物における先染織物の設計支援エキスパートシステムについて
愛知県尾張繊維技術センター 柴田 善孝
毛織物業界では消費者ニーズの多様化と高級化によって、ニーズに即応した素早い製品作りが求められている。しかし、織物を企画設計する技術後継者の不足と熟練者の高齢化が進み、ニーズに即応した製品作りに支障を来しているのが現状である。
このため、この熟練者不足への対応が早急に迫られ、コンピューターを応用して、先染の毛織物の設計を支援するシステムの開発が求められている。
先染の毛織物の企画設計には長年の経験と勘を要し、複雑な計算も必要な事から、経験の浅い設計担当者でも、簡単な操作で熟練者と同程度の毛織物設計が支援できるような、エキスパートシステムの開発が望まれている。
1昨年は毛織物の設計支援エキスパートシステムの構築における考え方、方法について検討し、昨年度は無地織物における設計支援エキスパートシステムの開発について研究してきたが、本年はこれを更に発展させて、先染織物の設計支援ができるようにした。
過去の織物のデータファイルの中から、目的とする織物を検索し、これを基に設計計算する手順は昨年の研究報告ととほぼ同じであるが、先染織物の設計を行うためには素材や糸種の変更が必要で、これらの変更と糸種および色別に糸量等が計算できるようにプログラムを改良した。
また、入力した経緯の配列データは、色コードの連続では分かりにくいので、配列表に変更して設計書にプリントできるプログラムを作成した。
毛織物業界は、多様化する消費者からの要求に即応した商品企画に対応するため、今後ますます感性と技術的な知識を結集した新製品の開発に努めなければならない。
このため、各企業とも設計部門は一層の強化充実が図られ、企業イメージを変えて若年労働者が働きやすい環境作りに努力している企業もみられるが、熟練者の高齢化はどの企業にとっても悩みの種である。
毛織物を企画設計する場合、熟練者は過去の経験を基に素材から最終製品にいたるまでの幅広い知識が必要で、これらの知識をいろいろな角度から活用して新しい製品のイメージを抱き、実際の織物設計に応用されている。しかし、未熟練者はこれらの知識がなく、熟練者の高齢化によってこれら未熟練者の育成もままならぬのが現状である。
このため、経験の浅い未熟練者でも容易に毛織物設計ができる支援エキスパートシステムの開発が望まれている。
熟練者が長年の経験によって培われてきた知識とは、
1. 原料・素材に関する知識、
2. 糸加工に関する知識、
3. 製織に関する知識、
4. 染色に関する知識、
5. 縫製に関する知識、
その他(消費科学的知識、生産コスト等)や、過去の織物データの蓄積である。
熟練した設計担当者はこれらの知識を全て論理的・有機的に結び付けて設計するものではないが、あるものは潜在的な知識として機能し織物の設計作業を支援しているものと考えることができる。
そこで、このような熟練者が持っているさまざまな知識を収集・整理して織物の設計作業を支援する知識ベースをAI構築ツールを用いて作成する手法について検討を行った。
スタイル画の立体表現手法
愛知県尾張繊維技術センター 本間 重満
多種類のアパレル・デザインを短時間で作成するため、3次元コンピュータ・グラフィックスを用いてスタイル画に任意の織物柄を立体的にシミュレーションする手法について研究を行った。
(1)シルエット・デザインをファッション・イメージ及び造型構成要素別に4つの立体形状に類型化することにより、複雑な3次元形状モデリング工程を経ることなく、それぞれのシルエット形状に対応した立体シミュレーションを可能とした。
(2)袖や身ごろ、襟といったアパレル・パターン形状に対応したテクスチャー・シミュレーション手法として、人台をベースとした3次元ワイヤーフレーム・モデルを作成し、このワイヤーフレーム・モデル上で簡易に立体テクスチャーが作成できるようにした。
アパレル製品企画においては、付加価値や生産性を高めるための手段として、素材の開発から製品化企画まで一貫したコンピュータ利用技術の確立が望まれている。
なかでも、アパレルにおける素材は、最終製品イメージを決定する重要な要素であり、製品イメージに合った素材の開発やシルエット形状やスタイル・デザインに対応した素材の選定等、アパレル・デザインにおける素材企画(ファブリケーション)は、色、柄、テクスチャーといった素材の持つ感覚要因の定量的把握とともに、最終製品形状でのシミュレーション手法等、製品評価技術としてのコンピュータ利用技術の確立が課題とされている。
このことから、産地アパレル素材開発を支援するものとして、3次元CADを利用しスタイル画に任意の織物柄を立体的にシミュレーションする手法について研究を行った。
検反作業の自動化技術に関する研究
--織物表面凹凸の画像検査技術--
愛知県尾張繊維技術センター 安藤 正好、池口 達治
織物表面の凹凸状態に関係する欠陥には、表面がフラットな織物に結び目などの凹凸欠陥がある場合と、もともと凹凸がある織物、例えばサッカー、コーデュロイなどに凹凸欠陥がある場合とがある。
これら織物の表面凹凸変化をコンピュータ画像処理技術を用いて解析し、欠陥検査の自動化を図った。
この研究では、織物の設計意図に合致した正常な凹凸の現れ方を基準にして、これとは異なる部分を検出するため、2種類の凹凸検査手法を構築した。
ひとつは、検査織物の斜め上方からフラットランプ光を照射して、できた影の状態をもとに欠陥を認識・抽出する検査手法(以下投光造影法と呼ぶ)である。
もうひとつは、斜め上方からレーザースリット光を照射し、検査織物に当たったスリット光の形状をもとに凹凸量を計測し、欠陥を認識・抽出する検査手法(以下スリット投光法と呼ぶ)である。
製造業界では、人手の多く要する作業の自動化・省力化が強く望まれており、繊維業界でも例外ではない。
織物の検反作業は、製織・染色整理などの各工程で頻繁に行われており、高品質な織物を製造する上でなくてはならない重要な作業である。
この検反作業は熟練者の目視に頼って行われているため多くの人員と手間を要し、作業者への負担が大きくまた個人差もある。
このため、製品の品質向上・均質化を図る上からも自動化・省力化が必要と考えられる。
本研究では、検反作業のうち、サッカーやコーデュロイのような織物の凹凸に関する検査にターゲットを絞り、コンピュータ画像処理技術を応用した自動化技術に取り組んだ。
一般に物体の凹凸を検出するには、触針法、モアレ法、レーザー法などがある。電気部品のように硬質な物体の凹凸検出については、既に製造ライン上での自動化が図られている。
しかし、織物表面凹凸の検査を自動化するのは、織物に含まれる異常な凹凸をコンピュー夕で識別する事が難しく、実用化に至ってない。
防縮加工毛糸の均染化技術
愛知県尾張繊維技術センター 堀田 好幸
羊毛防縮糸のチーズ染色における均染化の対策は、次のとおりである。
(1)チーズ染色は、染色初期の染色速度で均染性が決まる。
(2)防縮糸は、染色初期に染液流量が少ないと不均染になる。チーズ染色で均染するには、40L/分前後の染液流量が必要である。
(3)染色開始温度20℃、pHを中性域として染色を開始し、染料残液濃度が20~30%となった時点あるいは80℃から、100℃まで徐々に酸性側にpHスライドする方法で均染が得られた。
近年、羊毛防縮加工法は、ヨーロッパに見られるように有機塩素系化合物AOXの排水規制の動きに端を発して、従来のクロリネーション法から環境基準をクリヤーできるような新しい方法に変わりつつある。
この新しい加工法は、塩素ガスを溶かした水溶液か低濃度の次亜塩素酸ソーダ溶液を用いて数秒以内の極短時間で羊毛表面のみを処理し、続いて樹脂加工する方法である。
これは、自動化された加工装置の完成が大きく寄与しているが、加工ムラの防止や羊毛繊維の品質を落とさずに最高の防縮効果が得られる方法であるため、我が国でも導入されるようになった。
一方、羊毛防縮加工糸の均染化に関する研究は、旧来のD.C.C.A法をベースとしたものからの展開は少なく、最近の極短時間クロリネーション防縮加工糸に関するものは殆どない。
しかし、尾州地域の染色工場では、この新羊毛防縮加工チーズ糸の染色で、トラブルが発生しているにもかかわらず、その要因解析や染色速度のシミュレーションについては十分に行われていない。
そこで、不均染が原因でトラブルの発生しやすい羊毛防縮加工チーズ糸について、種々の染色条件のもとで、主に染色速度と均染性との関係を解析することにした。
自己伸長縫糸の開発
愛知県尾張繊維技術センター 板津 敏彦、坂川 登
最近の衣料の素材面の傾向は、使用布地の薄地化、軽量化、高密度化などである。
特殊糸の使用などにより、優れた質感を有する一方、縫製面からみると、シームパッカリング(縫目付近の凹凸;縫目ジワ)が発生しやすくなっている。
特に、ウール高率混精紡交撚糸織物などの薄地毛織物は、毛織物素材特有のハイグラルエキスパンション(乾燥状態で収縮し、多湿状態で伸長する性質)は通常の毛織物と同程度であるが、薄地高密度であることなどから、シームパッカリングが発生しやすくなっている。
ミシン縫い工程を終了し、やや外観に問題がある場合でも、製品の最終段階のプレス・アイロン仕上工程で処理されれば、織物は乾燥収縮し良好な外観を示す。
しかし、その後着用時などで織物が元の長さに戻ればミシン縫い直後の外観に戻り、さらに多湿状態になると織物は元の長さより長くなり、常に一定寸法の縫目との間に寸法差が発生し縫目付近の織物がたるみ、大きなシームパッカリングが発生する。
そしてこのような状態では、製品のほとんどの縫目部分に「つり」が発生した状態になるので、製品全体の歪みも発生する。
また、新合繊織物や最近のドレスシャツ地である高密度綿織物などでは、シームパッカリングが発生しやすい素材が増加している。
しかし、こうした縫製難度の高い布地への対応策を見いだすことで、製品の多様化・高級化、従来素材製品のより一層の高品質化が実現できる。
このような観点から、ここでは縫製後に必要な長さだけ伸びるという新しいタイプの「自己伸長縫糸」開発について検討した結果を報告する。
次世代ウールに関する研究(1)
--ストレツチ糸の開発--
愛知県尾張繊維技術センター 河村 博司、古田 正明、安田 篤司
ウールの春夏用ストレッチ性素材の開発を目指して、加撚/解撚及び撚セット加工による梳毛糸のストレッチ性付与を行った。
そして更に、この付与加工を施したストレッチ細番手糸1/72を芯としたコアヤーンでの複合化を図った。
その結果、織物による評価試験において、従来の加撚/解撚及びスチームセット法の糸に比べ、新しい撚糸加工の糸は残留歪率が76%低減し、伸びが18%向上した。
また、新しい撚セット加工の糸は残留歪率が31%低減し、伸びが96%向上した。
次に、このストレッチ糸を芯とするコアヤーンをエアジェット精紡(無撚)やリング精紡(有撚)で試作し、芯の被覆率・織物での風合いを検討した。
その結果、アクリロニトリル処理糸を芯とするリング精紡コアヤーンは従来のストレッチ糸に比して、伸びが30%向上したが残留歪率は15%増加した。
その「着心地の良さ」の一つの要因であるストレッチ性について、春夏用毛織物では秋冬用に比して余り検討されていなかった。
このため、加撚/解撚法による撚糸加工とアクリロニトリル等の薬剤による撚セット加工の併用により梳毛糸にストレッチ性を付与し、更にこのウールスト レッチ糸を芯に使用してエアジェット精紡など特殊紡績技術を用いて複合化し、ストレッチ性のほかに風合いの向上を図った。
次世代ウールの開発に関する研究
--高品位性毛織物・編物の開発--
愛知県尾張繊維技術センター 北野 道雄、山本 周治、藤田浩文
天然繊維の改質加工にバイオテクノロジーを応用する試みが、各方面で多様に展開している。
このうち、羊毛に対する加工では、酵素の利用例が多くみられ、現在では内外の報告も年を追って増えつつある。しかし、比較的新しい技術であるため、今だ不明な点も多い。
そこで、当センターにおいて長年研究を続けてきた羊毛の酵素処理技術と、平成3~4年度に研究した天然高分子を利用した羊毛の改質加工技術を併用して、高品位な羊毛を得る方法について研究を行った。
この結果、酵素処理を施してソフトでしなやかにした羊毛に、天然高分子を付与加工することにより、各種機能を備えた柔軟で高光沢な形状記憶ウール製品(高品位性毛織物・編物)を開発した。
羊毛の改質に酵素を応用する技術は、ここ数年、急速に各方面で研究が進められている。 これは、公害の防止や地球環境保護の観点から、バイオテクノロジーの応用がさけばれていることもその一因と思われる。
当センターにおいても昭和63年度から酵素を羊毛の改質加工に利用する技術について研究を続けてきた。そして、処理条件や改質羊毛の各種物性と風合い特性に関する基礎デークを得ている。
一方、羊毛の改質加工に天然高分子を応用する方法についても、平成3年度の研究で明らかにしている。ここでは、今までの研究成果を応用して、酵素処理と天然高分子付与加工技術を併用するこのによりソフトでしわになりにくく、光沢のある織物や編物の開発に成功したので報告する。
裁断くずの再利用に関する研究
愛知県尾張繊維技術センター 大津 吉秋、三輪 幸弘
本研究は、縫製裁断くずの再利用を図るために、保温・断熱材ボードの製品化について検討したものである。
昨年度は、裁断くずを細断化及び粉砕化した後パウダー状熱融着樹脂を混ぜてボードを成形する方法と、湿式法で樹脂を含浸してボードを成形する方法について検討を行った。
今年度は、この研究成果をもとにして、より実用性(コスト、ボード化のプロセス)を高めるために、細断化した試料に直接樹脂を噴霧しボードを成形する方法と、樹脂を噴霧した後、高速撹拌することで細断片を糸状に解体してからボードを成形する方法について実験し、ボードの成形条件と性能について検討を行った。
まとめ
縫製裁断くずを用い、樹脂接着によるボードを作製し、保温・断熟材としての性能について検討した結果、次のことが分かった。
(1)糸状試料ボードは、布状試料ボードに比べ、断熟性があり曲げ変形に対するボードの破壊は小さい。
(2)アクリル系樹脂ボードは、曲げ強さ、引張り強さとも大きく、ねばりがある。
(3)酢ビ系樹脂ボードは、曲げ強さは強いが、硬くてもろい。
(4)フェノール系樹脂ボードは、強力が弱く、単独使用には適していない。
(5)酢ビ・アクリル系複合樹脂ボードは、両樹脂の特性が発現する。
(6)発泡スチロール混入ボードは、ボード表面に空隙が発現するため、他基材と重ねて使用することにより保温効果を高めることができる。
チーズ乾燥作業の省力・適性化
愛知県尾張繊維技術センター 野田 栄造
チーズ乾燥作業における、チーズ内の温度変化や水分率変化等のチーズ乾燥特性を把握し、チーズ乾燥作業の効率化・適正化について検討した。
チーズ糸の乾燥は、温風送風方向にしたがって絶乾に近い状態で順次乾燥し、外側の部分は最後まで濡れた状態である。乾燥速度は、チーズ内温風通過流量に比例し、同一素材であれば巻密度に反比例することが分かった。
素材の異なるチーズを同時に乾燥するためには、一つの方法として、乾燥速度の速い素材のチーズ内通過風量を遅いものに合わせることで可能となる。
最近の糸染め業界は、多品種小ロット短サイクル化が顕著である。チーズ染色においても、糸染めロットの小ロット化は顕著であるが、チーズの高圧乾燥機は、以前の大きなもので乾燥されている。異素材を乾燥する場合などは、非常に効率が悪い。
本研究では、チーズ乾燥作業時における素材の乾燥特性やチーズ内の温度変化、水分率変化などを調べるとともに異素材の同時乾燥方法についても検討を加えた。
毛糸の短時間染色の案用化
愛知県尾張繊維技術センター 浅井 弘義
水酸化ナトリウム(NaOH)及びテトラキスヒドロキシメチルホスホニウムクロライド(THPC)で前処理し、毛糸の染色時間短縮法について検討し、次のことが明かとなった。
ア.NaOH濃度0.1N、温度40℃、処理時間10分で羊毛を易染化できる。特に濃厚芒硝溶液中で行えば、羊毛の物性を損なうことなく処理することができる。
また、尿素使用はより易染性を向上させるが、反面羊毛損傷が進む。
イ.THPC処理羊毛は低温域で染料吸収が大きい特徴を示す。THPC1%+芒硝20%またはTHPC0.5%+尿素100g/Lの条件で、羊毛の損傷を抑え、染色速度を大きくすることができる。
ウ.NaOH及び、THPC処理により、染色時間を50分に短縮することが可能であるc
最近の糸染業界は多品種少量、短サイクル化が顕著で、特に小ロット化が進み、生産性の低下や染色経費の上昇で、糸染工場の経営を圧迫している。
このため、染色時間の短縮化が重要な技術課題となっている。
染色時間を短縮する方法として、例えばギ酸、アンモニア、界面活性剤等の薬品処理や溶剤染色、高周波染色等がある。
しかし、染色ムラや染色堅牢度等の品質、コスト及び特殊な装置などの設備上の問題があり、現実にはそれほど利用されていない。
ここでは、特殊な装置や設備を用いない薬品による化学的処理法を検討し、毛糸の短時間染色に応用し、実用的な短時間染色の確立を目的とした。