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テキスタイル&ファッション誌(メールマガジン)バックナンバー
テキスタイル&ファッション Vol.4 (1987)
Vol.19/No.1~12
(1987年4月号~1988年3月号)
1-ファッション情報 | No. | 月 | 頁 |
---|---|---|---|
'88春夏FDC TEXTILE TREND(LADIES') | 1 | 4 | 1 |
'88春夏FDC TEXTILE TREND(MEN'S) | 2 | 5 | 51 |
アパレル業界の市場戦略と商品企画 龍谷大学 管原正博 | 3 | 6 | 90 |
ライフスタイル時代の登場 ポストDCの一視角 現代構造研究所 三島 彰 | 4 | 7 | 126 |
「太陽を感じる季節」パート1 ファッションコーディネーター 西山栄子 | 5 | 8 | 170 |
-ウォーターフロントが最先端- 株式会社シルバーピラミッド 渡辺 晶 | 6 | 9 | 236 |
'88/'89秋冬海外提携テキスタイルトレンド説明会 | 7 | 10 | 283 |
'88/'89秋冬FDCTEXTILE TREND(LADIES') | 8 | 11 | 338 |
'88/'89秋冬FDCTEXTILE TREND(MEN'S) | 9 | 12 | 396 |
「インテリジェンス・モダン」 ファッションコーディネーター 西山栄子 | 10 | 1 | 443 |
'88年ファッンョンビジネス3つのキーワード 繊研新聞社 山崎光弘 | 11 | 2 | 489 |
'89春夏海外提携テキスタイルトレンド | 12 | 3 | 549 |
2-研究報告 | No. | 月 | 頁 |
---|---|---|---|
ノット意匠糸の特性とその要因に関する研究 | 1 | 4 | 9 |
ドレープ性に及ぼす布地物性の影響 | 2 | 5 | 59 |
麻及び麻混紡糸の製織技術 | 3 | 6 | 96 |
毛織物の泡染色加工について | 4 | 7 | 132 |
糊付工程への誘導加熱の応用 | 5 | 8 | 172 |
低浴比チーズ染色技術 | 6 | 9 | 240 |
編地見本作成ロスの低減化 | 7 | 10 | 289 |
染色速度のコンピュータ制御(1) -羊毛染色における酸性染料吸尽速度の数値化- |
9 | 12 | 404 |
消費性能に関する試験技術 | 10 | 1 | 445 |
糸パッケージ検査装置の開発(その1) | 11 | 2 | 496 |
特殊染色加工技術(凹凸加工) | 12 | 3 | 557 |
ニットの接着芯地特性について | 12 | 3 | 563 |
8-技術情報の窓 | No. | 月 | 頁 |
---|---|---|---|
技術情報 | 1 | 4 | 47 |
技術情報 | 2 | 5 | 86 |
技術情報 | 3 | 6 | 122 |
技術情報 | 4 | 7 | 166 |
技術情報 | 5 | 8 | 232 |
技術情報 | 6 | 9 | 274 |
技術情報 | 7 | 10 | 334 |
技術情報 | 8 | 11 | 392 |
技術情報 | 9 | 12 | 439 |
技術情報 | 10 | 1 | 485 |
技術情報 | 11 | 2 | 545 |
技術情報 | 12 | 3 | 611 |
9-その他(新設機器紹介) | No. | 月 | 頁 |
---|---|---|---|
機器紹介 | 1 | 4 | 41 |
第36回全国織物競技大会報告 | 7 | 10 | 278 |
スタイル時代の登場-ポストDCの一視覚
持続するデザインと生活へのこだわり (現代構造研究所 所長 三島 彰)
ポストDCが取沙汰されるようになって、しばらくの時が過ぎたが、この問題を考える前に、「次は何だ、その次は」と、いつもひたすらマーケットの新課題を迫い求めていく体質への反省から始めてみたい。
激しい変化の時代に、しかもファッションビジネスに生きているものが、絶えず時代の新基調に敏感に反応することは当然であり、必要なことでもあるだろう。
しかし、かつての高度成長期ならともかく、そのような新基調を片手間に消化し、そのうわずみを掬って、小商売にまとめてしまうことができるほど、現代の課題は簡単ではない。
絶えず時代基調を理解しようとする努力は必要だが、同時に、そのような動向に対処する自分自身のスタンスを、常にしっかり身につけていないと、その事業の真の成長はあり得ない。ファッションビジネスは、サーファーの波乗りではない。
新しい動向の把握が重要であると同時に、どのような時代のなかにも、それが順風の折にも、逆風の時にも、挫けず初志を貫く姿勢がなければ、真のファッションビジネスは確立できない。
変るのがファッションビジネスなら、変らないのもファッションビジネスなのである。
DCがよければあやかろう、悪くなれば逃出そうといった身の処し方では、DCブームが発生した時代的な意義からして、理解できないのではあるまいか。ポストDCを考えるためには、まず、それを考えるスタンスを固めるところから始めるべきだ。
確かに、DCがかつての目覚ましい勢いを失ったことは、現実のさまざまな状況が裏書きしている。たとえば、DCブティックが飽和し、供給過剰におちいっていることは、巨大都市よりも、地方都市で観察する方が、より実感として理解できる。
とにもかくにも一定のスケールをもっている都市では、ここ1、2年にDCブティックは、驚くほど増大している。先日訪れた広島では、街によっては、青山あたりより密度が高いのではないかと思われるほどの展開ぶりだった。
しかもこれらのフランチャイジーのかなりの部分が、本来自力で品揃えするだけの力をもっていないのではないかと想像する時、DCマーケットの陰りを直感するのは、当を得ているといわなければならない。
そこから当然、次のマーケット基調は何かということが問われることになるわけだが、その前に、さしも猛威をふるったDCブームとは、どんな意味をもっていたのかを、改めてしっかり確認しておく必要があるのではなかろうか。
DCブームに先立つ「世界の一流品」ブームが、ファッションの普遍的、伝統的価値に対する評価に立脚していたとするならば、DCブームは、現代的クリエーションを理解し、共感し、支持する動向に根差していたといっていい。
DC供給が飽和し、消費者にも買い疲れもあれば、そこに一服症状生れ、淘汰も出てこようが、クリエーションに対する鋭い理解力や、それを積極的に受入れれていく熱意自体が、失われてしまうわけではない。
「ポストDCはDCだ」という丸井の姿勢が生れてくる。
スタイル時代の登場-ポストDCの一視覚
持続するデザインと生活へのこだわり (現代構造研究所 所長 三島 彰)
ポストDCが取沙汰されるようになって、しばらくの時が過ぎたが、この問題を考える前に、「次は何だ、その次は」と、いつもひたすらマーケットの新課題を迫い求めていく体質への反省から始めてみたい。
激しい変化の時代に、しかもファッションビジネスに生きているものが、絶えず時代の新基調に敏感に反応することは当然であり、必要なことでもあるだろう。
しかし、かつての高度成長期ならともかく、そのような新基調を片手間に消化し、そのうわずみを掬って、小商売にまとめてしまうことができるほど、現代の課題は簡単ではない。
絶えず時代基調を理解しようとする努力は必要だが、同時に、そのような動向に対処する自分自身のスタンスを、常にしっかり身につけていないと、その事業の真の成長はあり得ない。ファッションビジネスは、サーファーの波乗りではない。
新しい動向の把握が重要であると同時に、どのような時代のなかにも、それが順風の折にも、逆風の時にも、挫けず初志を貫く姿勢がなければ、真のファッションビジネスは確立できない。
変るのがファッションビジネスなら、変らないのもファッションビジネスなのである。
DCがよければあやかろう、悪くなれば逃出そうといった身の処し方では、DCブームが発生した時代的な意義からして、理解できないのではあるまいか。ポストDCを考えるためには、まず、それを考えるスタンスを固めるところから始めるべきだ。
確かに、DCがかつての目覚ましい勢いを失ったことは、現実のさまざまな状況が裏書きしている。たとえば、DCブティックが飽和し、供給過剰におちいっていることは、巨大都市よりも、地方都市で観察する方が、より実感として理解できる。
とにもかくにも一定のスケールをもっている都市では、ここ1、2年にDCブティックは、驚くほど増大している。先日訪れた広島では、街によっては、青山あたりより密度が高いのではないかと思われるほどの展開ぶりだった。
しかもこれらのフランチャイジーのかなりの部分が、本来自力で品揃えするだけの力をもっていないのではないかと想像する時、DCマーケットの陰りを直感するのは、当を得ているといわなければならない。
そこから当然、次のマーケット基調は何かということが問われることになるわけだが、その前に、さしも猛威をふるったDCブームとは、どんな意味をもっていたのかを、改めてしっかり確認しておく必要があるのではなかろうか。
DCブームに先立つ「世界の一流品」ブームが、ファッションの普遍的、伝統的価値に対する評価に立脚していたとするならば、DCブームは、現代的クリエーションを理解し、共感し、支持する動向に根差していたといっていい。
DC供給が飽和し、消費者にも買い疲れもあれば、そこに一服症状生れ、淘汰も出てこようが、クリエーションに対する鋭い理解力や、それを積極的に受入れれていく熱意自体が、失われてしまうわけではない。
「ポストDCはDCだ」という丸井の姿勢が生れてくる。
“88春夏のトレンドを探る” シーズンコンセプトとイメージ「太陽を感じる季節」パート1
西山 栄子
来年の春・夏が一体どんなシーズンなのか、海外から様々なトレンド予測が提案されます。
総論としてはそれらのひとつひとつはガイドラインとして1つの基準になります。しかし、マーケットがどんどんナショナリズム化(その国の価値感で動き始めている)している現在、もう少し肌に感じて、ナルホドと思うトレンドの感じ方が必要になってきました。
海外のトレンドともうひとつ「あなたはどう思いますか?」といった。より具体的なテーマへの答が求められる時代になりました。
私の感じる来年は、石原裕次郎の映画ではありませんが、「太陽の季節」、即ち「太陽を感じる季節」という大テーマがあります。
ディレクション用のマップに使うとなると、
<サニー>
<サンシャイン>
<ソレイユ>
といった単語を上手に使ってテーマにします。
全体のムードは、青色やオレンジ、若草色、といった太陽光線が感じられる色合、そしてちょっと日に焼けた健康的な雰囲気です。ひまわり、花園に咲き乱れる夏の花々、花のモチーフ、といった花へのあこがれが増すでしょう
“フルール・フラワー・HANA”
“華・花・ハナ”
とでも言いたい気分の花プリントがシーズンのひとつのエッセンスになるでしょう。実は来年の春夏のトレンドを探るのにとても重要なポイントが2つあります。
1つは、今年の春夏に注目されたもので情報価値の高かったものです。少し不足気味でしかも新鮮な印象を受けたもの……。
もうひとつは秋冬(すぐ前のシーズン)に注目された気分です。例えば、6、7、8月と東京のおしゃれさんたちはシャネル・ルックに凝っています。
-ウォーターフロントが最先端-(東京湾岸構想)
(株)シルバーピラミッド 代表取締役 渡辺 晶
今、世界中でウォーターフロント開発が行なわれている。TOKYOだけではなく、ロンドン、ニューヨーク、セントルイス、メルボルン、シドニー、バンクーバー等で、都市の再開発計画とともにウォーターフロントが注目されて来ている。これらは国家ではなく都市単位のプロジェクトであり古代の都市国家のよ うに進められている。
TOKYOでも、ハード感覚なビックプロジェクト(東京湾人工島構想、東京湾マリネット計画、東京湾海上公園構想、TDLホテル計画、13号地東京湾シンボルゾーン)から、ソフト感覚のミニプロジェクト(ベイエリアのレストラン、水上バー、ギャラリー、ディスコ、プールバー、ヨットクラブ)まで、あらゆ る分野にわたって東京湾岸構想が進められている。
アメリカでは、ニューヨークのサウス・ストリート・シーポートやセントルイスのユニオン・ステーションのウォーターフロント都市再開発計画が有名である。
このニューヨーク、セントルイスにつづいて今、最も世界中の人々から注目をあびているのはニューオリンズのリバーウォークプロジェクトである。
これは、ミシシッピー河に面するウォーターフロント計画である。この計画は、“都市はそこに住んでいる人々の生活と繁栄を何んらかの形で援助しなければならない。それはショッピングセンターといったものがコミュニティーに必要なものでなくてはならない”という主張から長期に亘る周到な計画と従来のプロジェクトにみられない各方面のクリエイティブなデザイナーの参加により実現した。
'88/'89秋冬海外提携テキスタイルトレンド
FDCでは、一宮市の委託をうけ、昨年度に引き続き、英国のデザイナー集団「イースト・セントラルスタジオ」と提携し、'88/'89海外提携テキスタイルトレンドを発表した。
イントロダクション
過去、何シーズンというもの、誰もが自分たちのデザインの構想をそのよりどころとなるテーマのコンセプトとダイレクトに結びつけたがりました。
しかも、それが単純明解な方法で行われることが多かったため言葉だけの形式的なものに終りがちでした。人々はそれに飽き今、次の段階へ進む時が来ています。
この冬、私たちは、人間性そのものを心の内側を深く見つめ、心のありのままの状態をコンセプトにおきかえながら、そのアイデアをより深遠な方法で述べていきます。
そうすることによって、色や素材の選択により幅ひろい柔軟性が出てきます。それは、舞台衣裳をあてがうような押しつけ的なものではなく、個々人のムードにふさわしい色や素材をあてはめていくということです。
知性とキャラクター性を融合させたファッション 「インテリジェンス・モダン」
知性とキャラクター性を融合させたファッション
「インテリジェンス・モダン」
10月に行われたパリコレクションで新しい素材感で私達をおどろかせたのはコム・デ・ギヤルソンのレース、スパンコール、ビーズといった装飾性のあるフェミニン素材でした。
白黒で色彩はないのですが、スパンコールやビーズがキラキラと光り、スポーティで女らしいデザインをひきたてていました。一見フォーマル素材かと思う光沢や輝きですが川久保玲はディウェア、即ち昼間にカジュアルな気分で着れるおしゃれ着として提案していました。
けっしてセクシーではなく、けっして昔風なみたことのあるようなものではなく、時代の風をうけた新しさ、即ちモダンさが生命です。
インテリジェンス、即ち知性とは、よくあるガチガチのスーツルックということではなくやわらかく、女らしい中にもどこか都会的でキリッとしたするどさがあることでしょう。
保守化する社会背景の中で保守化のもつ社会との調和がありながら次を提案する魅力はファッションにとって不可欠のものでしょう。インテリジェンス・モダンは単なるシンプルではありません。デザイナーやブランドのもつキャラクターが反映されたちょっとくせのあるデザインやディテールが必要になるのです。
◎“スーツの復活”
インテリジェンス・モダンでもうひとつ注目されるのは、'88年が新しいスーツの時代に突入することでしょう。ドレスやコーディネートルックに代ってセットになったスーチングスタイルは、社会性を持った服の復活です。
スーツルックが注目される背景には、社会の保守化がまずあげられます。次に女性の社会進出、即ち就業率の高さがあります。仕事をする女性として能力があるように見える、社会参加の自覚を促してくれる、そんなものがスーツスタイルに秘められているのでしょう。
スーツと言ってもそれは、男性の背広のようなものではありません。女性のボディの美しさをシルエットに取り入れたもので、ボディコンシャス、ボディシェイプはまだまだ続いてスーツシルエットヘ移ってゆくでしょう。
この女らしいスーツスタイルを作りあげるために必要なのが梳毛感覚のプレーンな生地です。
プレーンな表面がきれいであるためには素材そのもののワタや糸が良い質でなければならないのは言うまでもありません。
シンプルな素材は一見なにげないようで実はシルエットを作り出すためのハリやコシが出るために打ち込みが良いことも必要です。
ウールで対応出来るのは長くて3月まで、それからは綿や麻のプレーンなハイスタンダード素材が必要です。
ツイル、カルゼ、ダブルのフランス綾、オットマン、ポプリン等の組織でプレーンでちょっと微妙な表面効果を出すといいでしょう。
'88年ファッションビジネス 3つのキーワーズ DCの低迷、起業家・戦略、そして国際時代
アパレル産業の経済・消費動向は一変する (繊研新聞社 編集部取材キャップ 山崎 光弘)
'88年ファッションビジネスの動向は極めて注目されるものになっている。
それは、第1に88年代前半からアパレル(衣料)産業の期待をつないできたDC(テザイナー・キャラクター)アパレルメーカーの息切れがハッキリしてきたこと。
第2には、経営、財務基盤のガッチリした、大手、中堅あるいは百貨店、専門店など全てのファッションテーラーを含んでの「国際時代」の幕明けとなることである。
国内の優勝劣敗を基準とした競合の時代から、文字通り国際の際(きわ)のなくなる国際時代におけるアパレル攻防戦が展開される。
ノット意匠撚糸の特性とその要因に関する研究
要旨 (愛知県尾張繊維技術センター 古田 正明、鷲野 鋭之進、塚原 靖晧)
ノット意匠撚糸の効率的な企画、設計に寄与するため、製造要因とその特性の関係を把握した。
すなわち、各種の梳毛糸とレーヨンフィラメント糸を使用し、電磁クラッチ式意匠撚糸機で設定道撚数と設定ノット撚数を変化させて、ノット意匠撚糸を製造した。
そして、ノット意匠撚糸の1周期の長さ、ノットの長さ、道の撚数、ノットの撚数を製造要因の関数として表わすことができた。
また、ノットの大きさについては上記の関係から得たノットの円周長をノットモデルと比較し、その風合についてもふれてみた。
その結果、次のようなことが判明した。
1)1周期の長さ(L)は設定道撚数(Ta)、設定ノット撚数(Tb)、原糸の番手(N)の関数で表わされ、Ta+Tbあるいは1/Nに比例して短くなる。原料素材の違いによる差は無く、異番手の原糸を組合せた場合は芯糸の番手の影響が大きい。
2)実際のノットの長さは1周期の長さと同じく、Ta、Tb、Nの関数で表わされ、Taに比例して短くなり、Tb、Nに反比例して長くなる。
原料素材の違いによる差は無いが、レーヨンフィラメント糸ではノットがくずれやすく、やや長くなる。異番手の原糸を組合せた場合は芯糸の番手の影響が大きい。
3)実際のノットの燃数(tb)は、TbとNの関数で表わされ、TbあるいはNに反比例して多くなり、Tbに近づく。
原料素材の違いによる差は無く、異番手の原糸を組合せた場合は両者の中間的な値となる。なお道の撚数(ta)はTa+Tb-tbで表わされる。
4)t、tbなどから算出したノットに巻付く搦糸の糸層(S)はTa、Tb、N、原料定数(K)の関数で表される。そして、Taの増加とともに層は厚くなる。しかし、Taが小さい時と大きい時ではTbの影響は逆の傾向を示す。
5)同じく、t、tbなどから算出したノットの円周長(φ)はTa、Tb、N、ノットに巻付く搦糸の長さ(y)の関数で表わされる。そして、Taの増加とともに短かく、Tbの増加とともに長くなる。
6)ノットの風合はφ1とモデルから算出したノットの円周長(φ2)を比較し、φ1がφ2よりも大きい時は柔らかくて形がくずれ、その逆は堅くなることを確かめた。
意匠撚糸は芯糸に搦糸を巻付けるなどして作られる特殊糸で、当産地特有の高付加価値なファンシーヤーンである。したがって、糸の外観や風合といった特性を左右する企画、設計および製造条件の設定は、従来、経験と勘に基づいて行われてきた。
しかし、熟練者不足や一層の多品種少ロット、短納期化に対応するためには、意匠撚糸の特性と製造要因の関係を定量的に把握し、数値的に制御する技術を確立しておかねばならない。
そこで、本年度はノット意匠撚糸について、素材物性や製造条件が糸の物性に及ぼす影響を検討し、両者の関係を明らかにした。
ドレープ性に及ぼす布地物性の影響
要旨 (愛知県尾張繊維技術センター 伊藤 通敏、坂川 登、松井 弘)
布地のドレープ性を把握するために、物性の異なる各種布地について、ドレープ係数、ノード数、ドレープ形状を測定し、それらの関係について検討した。
またドレープ性に関係すると考えられる各種布地物性とドレープ係数との相関性を検討した結果、経、緯、バイアス方向の平均剛軟度(45度カンチレバー法)と高い相関があることがわかった。
さらに布地のドレープ性を簡易に測定する方法を検討し、その測定値からかなり精度良くドレープ係数を予測できることが分った。
布地のドレープ性は被服の外観の美しさに関係する要素のひとつであり、衣服のシルエットの演出に重要な役割をはたしている。
ドレープとは、布地が自重によって垂下しヒダを生じた状態を言うが、現在、布地のドレープ性を評価する方法としてドレープ係数が用いられている。
しかしこの測定には特定の測定機を必要とし、測定のための時間もかかるのが現状である。
本研究では布地のドレープ性とそれに関連する物性について解析するとともに、衣服の企画部門等で手軽にドレープ性を評価できる方法を検討した。
麻及び麻混紡糸の製織技術
要旨 (愛知県尾張繊維技術センター 伊藤 通敏、坂川 登、松井 弘)
布地のドレープ性を把握するために、物性の異なる各種布地について、ドレープ係数、ノード数、ドレープ形状を測定し、それらの関係について検討した。
またドレープ性に関係すると考えられる各種布地物性とドレープ係数との相関性を検討した結果、経、緯、バイアス方向の平均剛軟度(45度カンチレバー法)と高い相関があることがわかった。
さらに布地のドレープ性を簡易に測定する方法を検討し、その測定値からかなり精度良くドレープ係数を予測できることが分った。
布地のドレープ性は被服の外観の美しさに関係する要素のひとつであり、衣服のシルエットの演出に重要な役割をはたしている。
ドレープとは、布地が自重によって垂下しヒダを生じた状態を言うが、現在、布地のドレープ性を評価する方法としてドレープ係数が用いられている。
しかしこの測定には特定の測定機を必要とし、測定のための時間もかかるのが現状である。
本研究では布地のドレープ性とそれに関連する物性について解析するとともに、衣服の企画部門等で手軽にドレープ性を評価できる方法を検討した。
毛織物の泡染色加工について
要旨 (愛知県尾張繊維技術センター 浅井 弘義、吉村 裕、横山 繁)
泡染色に必要な、各種染色助剤及び染色条件での泡特性並びに泡加工試験機を使用して反応染料を中心に片面より泡を付与し、毛織物の染色布について固差率、裏面白度等染着性及び均染性について検討した。
染色助剤及び染色液の泡特性は起泡剤単独の場合と同様の傾向を示し、糊剤や均染剤の使用によって粘度、排水開始時間、浸透時間は大きくなる。
染料、酸、起泡剤のみでは均染性は得られず、均染剤、糊剤、尿素の使用によって染色性、均染性は向上し、良好な桔果が得られた。
ブロー比は10倍程度が良好で、WPUは50%以上にならないと均染性は得られにくい。また、片面付与による方法で両面同色を得るためには防縮加工等前処理する必要がある。
カチオン化剤を利用した片面加工やリバーシブル加工は裏面に浸透し、十分な効果は得られにくいが、ムラ染加工については興味ある効果が期待できる。
泡利用による染色加工は、省エネルギー技術の一つとして注目され、綿、ポリエステル等の連続加工工程、特に仕上加工を中心に研究開発が進み、実用化されている。
これに対して泡染色は仕上加工より複雑で厳しい条件が要求され、多くの課題がある。
しかし、綿、ポリエステル及びカーペット製品においてかなりの成果が報告され、実用化が進められている。
一方、毛織物については染色、仕上加工とも実施例は少なく、研究段階である。
泡加工は技術的な特徴として、
1)低ウェットピックアップ
2)乾燥エネルギーの節約
3)ウェットオンウェット加工
4)マイグレーションの抑制
5)片面加工、リバーシブル加工等両面異加工
などがあげられる。
今まで、起泡剤の泡特性及び毛織物の防縮加工について検討してきたが、今回は毛織物の泡染色について実験を行ない、その可能性及び利点について検討を加 えるとともに、泡の特長を活かした片面加工とか、リバーシブル加工のような特殊加工の可能性についても検討した。
糊付工程への誘導加熱の応用
要旨 (愛知県尾張繊維技術センター 河村 博司、堀田 好幸、荒井 清)
部分整経工程で糊付する機械は、過去に糊付機メーカーなどから市販されたことがある。
現在、稼働中は1~2台とのことである。これが普及していない理由として、スペースが広くいること、保守管理が面倒なことなどが考えられる。これは、乾燥手段として、スチームによるシリンダー乾燥を採用しているからであった。
そこで、保守管理が容易な電気エネルギーを利用する方法の中から、乾燥ローラーとして効率が良いと思われる誘導加熱ジャケット・ローラーを採用し、部分整経用簡易糊付機を試作し、その適否を検討した。
同時に、梳毛先染単糸を使って、部分整経糊付機として、具備すべき機能についても検討した。その結果、つぎのことがわかった。
(1)誘導加熱ローラーを乾燥ローラーに採用して、低速ではあるが、部分整経工程で糊付け可能な装置ができた。
(2)乾燥エネルギーコストも、梳毛糸1/30の試算で、24kg(200m整経長、経糸本数3,744本)624円となり、保守管理の容易性、装置の小型化などを加味し、実用化可能と考える。
(3)糊付機としては、試作機に毛羽伏せを主体とする対応策を加えれば、実用化はできる。
(4)製織性の判断基準として、抱合力試験(蛭田式)を採用し、切断までの回数>50回(最低)(ウェイト=2,000/単糸換算番手)であれば、製織可能と判断できる。
糊付け工程に無縁であった尾州地区でも、素材の多様化により、近年、糊付けが注目されている。その中で、特に先染糸を中心とする当業界では、簡易な糊付機の開発が強く望まれている。
10数年前に部分整経糊付機が世に出された。これらは、スチームを使った多数ローラーを部分整経用に幅を狭くしたもので、当業界への導入は無かった。
他業界(西脇、浜松地区など)では導入されたが、現在では浜松地区で1台存続しているとの情報があるだけであり、当業界にはマッチしなかった。
また、織布用ビームを糊付するビームツービーム方式の糊付機は、20~30m/分で糊付しているが、乾燥方式は熱風とスチームシリンダー(6、8本)を用いており、設備・ランニングコストとも高くなり、当地区では2~3セットの導入と聞いている。
こうしたことから、部分整経機のクリールとドラムとの間に、軽便に据付けできるような糊付機の開発を行なった。小工場でのボイラー設備の設置は困離であるため、乾燥方式として、熱効率が高いと言われる誘導加熱ローラーを採用した。
各種の実験により、乾燥ローラーとしての適否を検討するととに、梳毛先染単糸を使って、部分整経糊付機として具備すべき機能についても検討した。
その結果、糊付方法の課題(特に毛羽伏せ)と生産性の課題(乾燥ローラーの多段化と投資コスト)などが残っているが、2段ローラーまでであれば、設置スペースは同じで、条件付で、20m/分まで可能と考えられる。
低浴比チーズ染色技術
要旨 (愛知県尾張繊維技術センター 羽田野 早苗、柴田 晃伸、横山 繁)
チーズ染色工程の節水化、省エネルギー化を図るために羊毛のチーズ染色での巻き密度と液流量の均染に及ぼす影響と綿の反応染料によるチーズ染色の染色後の洗浄効果について試験したが、その結果、次の点が把握できた。
(1)羊毛のチーズ染色では、被染物に対して一方向のみから染液を流して染色する場合、均染を得るためには巻き密度が大きくなるにつれて、染液流量を多くする必要があり、巻き密度が0.30~0.37では被染物1kg当り約32~41リットル/分の液量が必要であった。
(2)綿の反応染料によるチーズ染色での染色後の洗浄効果を上げるためには、巻き密度が大きくなるほど液流量を多くしなければならなく、ソーピング後の湯洗いが洗浄効果に対して大きな要因となり、又、洗浄工程の浴比は出来るだけ大きくした方が洗浄効果は良かった。
染色整理業は繊維産業の中でも特に大量の水とエネルギーを必要とする産業である。
当尾張地区では昭和60年から工業用水が導入され、染色整理業にとって染色コストに占める用水の割合は増大している。一方、原油価格現状では下落傾向にあるが、中長期的にみれば需給は逼迫化し、相当程度上昇するものと予想される。
このため最近、低浴比チーズ染色機やプレスチーズ技術の開発がなされ節水効果、省エネルギー化が図られているが、羊毛関係ではあまり導入されていない。
一方、綿の染色では良好な堅牢度を得るために反応染料が使用されているが、染色後の洗浄工程では、未固着染料を除去するために多くの水とエネルギーが消費されている。
以上のことから今回、羊毛チーズ染色でのチーズ巻き密度、液流量の変化と染めむらの関係、綿の反応染料によるチーズ染色の染色後の巻き密度、液流量等と洗浄効果の関係について試験を行った。
編地見本作成ロスの低減化
要旨 (愛知県尾張繊維技術センター 佐藤 久、池口 達治、塚原 靖皓)
横編見本作成の効率化を図るため、各種横編組織について基本ループ長を設定し、基本ループ長と編地のテンションの関係を解析した。その結果、
1)各種編組織別に適正カバーファクター値と、編地密度定数を求めた。
2)編組繊が複合したときの、編地密度定数の補正値を求めた。
3)度目設定値と平編、リブ編、1×1リブ編の基本ループ長との関係を求めた。また、タック時の補正式を求めた。
4)以上の結果をもとに、編地幅、長さ、糸番手などの企画情報から、基本ループ長、目数、段数、糸量、目付といった編立データを予測する手法を確立した。
名古屋、尾張地区の横編業界はウールを中心に意匠糸など高級ニット素材を用いた付加価値の高い紳士、婦人用ニット製品を生産してきた。
これらの業界では、多品種少量短サイクル生産への対応や高付加価値な新規編地の開発の必要性にせまられており、コンピューター制御横編機など新鋭機の導入を積極的に図ってきた。
しかし、皮肉なことにこれら新鋭機の導入は見本点数の増加に拍車をかける結果となり、編組繊の複雑化も加わって糸ロスなど見本作成ロスや、編成用制御テープの作成など編成準備作業時間の増大が大きな負担となってきている。
特に、製造コストの一層の削減が望まれている昨今では、見本作成ロスの低減化が急務となっている。
そこで、当センターでは横編生産の効率化の一環として、各種横編組織についてループ長と編地テンションの関係を解析し、見本作成ロスの低減化のための手法について検討した。
染色速度のコンピュータ制御(1) -羊毛染色における酸性染料吸尽速度の数値化-
要旨 (愛知県尾張繊維技術センター 堀田 好幸、森 彬子)
酸性染料吸尽速度の数値化、染液濃度センサーの試作及びマイコンによるモーターの速度制御を行い、染色速度のコンピュータ制御化への基礎とした。
1)染液流量は、染料吸尽率には大きな影響を及ぼさないが均染化には重要な要因となった。
また吸尽率は、pHを一定とした場合は温度ばかりでなく時間にも関係するために、昇温速度を速くしても大巾な増加は期待できなかった。
2)マイコン制御が可能な光ファイバー方式の染料濃度センサーを試作した。測定は、R、G、B、IRで計測可能である。
3)染液流量制御の基礎となるモータ速度制御のモデル実験を簡易PID手法を取り入れた方法で行えるようにした。
はじめに
染色加工業においても、最近FMS化・FA化が話題となっている。
このFMS化・FA化は、従来は品質の安定化、労働力の質の面をカバーするために、欧米、新興工業国などで主に進められてきたが、今後はコスト競争力を強める必要から我国においても積極的に取り入れられでいくことが予想される。さらに、マイクロエレクトロニクスの急速な発展が、染色仕上機械のメカトロニクス化を進展させることにより、今にも増して染色工程の自動化が進むであろう。
たとえば、染色仕上機械の制御は、プログラマブルシーケンスコントローラが標準品として採用されていることや、各社独自のマテハンシステム、ロボット等などを積極的に導入していることからも明らかである。
しかしながら、本当の意味での染色工程の自動化は、最適な染色加工条件を機械が自動的に判断して実際に染色加工を進めるような制御方法であろう。
この研究では、その一例として羊毛染色における染色速度のコンピュータ制御をとりあげ、まずその基本技術となる酸性染料吸尽速度の数値化を行うこととした。
センサーからの信号を処理して染料吸尽速度の挙動を正確に数値化できれば、染色加工においてコンピュータ制御が可能となろう。
消費性能に関する試験技術
要旨 (愛知県尾張繊維技術センター 古田 正明、鷲野 鋭之進、塚原 靖晧)
ポリエステル・ウール混紡織物を用い、ピリング発生に織物密度及びドライクリーニングがどのように影響するかを検討した。
その結果、織物密度が密になるほど、即ち交錯回数が増加するほどピリング発生が少なくなることが分かった。またドライクリーニングにおいては、パークロルエチレン処理だけではピルの発生はそれほど減少しないが、界面活性剤を含むパークロルエチレン処理では、ピル発生数は他の物に比べて非常に少なくなるこ ととともに形状も小さくなることが分かった。
はじめに
衣料品の多くは、着用時あるいは洗濯時における摩擦などの物理的作用により、布の表面に毛玉が発生したりする。強度的に弱い毛羽は切断し脱落して行くが、毛羽が高強度で耐摩耗性に強い場合は、完全に脱落せずやがてその毛羽の先端が近接する毛羽と絡み合って毛玉(ピル)を形成する。このような現象をピリ ングといい、衣服の外観は悪くなる。
一方衣料品の軽量化、複合素材の利用、ファッション化及び消費者の品質に対する要求性能の高度化等によりピリングに対する相談は増加の傾向にある。
そこで、織物密度がピリングに対してどの様な影響を与えるか、またクリーニングによるピルの発生について検討を加えたので報告する
糸パッケージ検査装置の開発(その1)
要旨 (愛知県尾張繊維技術センター 安藤 正好、河村 博司、森 彬子、荒井 清)
糸検査工程の省力化・自動化を図るため、画像処理技術を応用して糸パッケージ(コーン)の検査手法を検討した。
糸パッケージ検査装置を試作した。検査装置は、ホストコンピューター(画像処理装置)、検査装置駆動コントローラー、糸パッケージ把持装置から構成した。
検査装置を用いて、巻密度、形状欠陥を検査するソフトウェアを開発した。
はじめに
繊維産業において、糸製造工程に始まり、最終の縫製工程にいたるまで、各工程で、自動化・合理化が進んでいる。しかし、製品の検査は、まだ人間の目視によって行なわれており、熟練者の経験と勘に頼っているのが現状である。
各工程の初めと終わり、あるいは、加工中においても、製品の検査は欠くことができない。その検査の良否が最終製品の品質へ与える影響が大きい。
近年、急速にコンピューター及びその周辺技術が普及し、性能も向上し、従来、汎用計算機でしか行なうことができなかった、デジタル画像処理を、安価な簡易システムでも実施することが可能となってきた。
デジタル画像処理とは、テレビカメラ等の画像入力機器により、被試験物体の画像をコンピューターに取り込み、画像をデジタル化し、種々の処理を施し、必要な情報を計算機により、引き出す処理を言う。
本研究では、このコンピューター画像処理技術を応用して、糸パッケージの欠陥検査(パッケージ形状欠陥、巻き密度etc.)を行なう検査装置を開発し、欠陥検出アルゴリズムを確立することを目的として行なった。
特殊染色加工技術(凹凸加工)
要旨 (愛知県尾張繊維技術センター 吉村 裕、浅井 弘義、横山 繁)
織物に凹凸感を出させる方法として、発泡樹脂を取り上げ、この応用について検討した。発泡樹脂として、アクリル系2種額と酢酸ビニル系1種類の樹脂を毛織物へ塗布し、発泡特性を測定した。
その結果、アクリル系樹脂は酢酸ビニル系樹脂に比べて、発泡倍率は約半分程度になるものの耐久性や柔軟性にすぐれることがわかった。
また、一本糊付機にランダムな間隔をあけて発泡樹脂を糸につけることができるような制御装置をつけて、糸に樹脂をつけ、予備乾燥後この糸を用いて織物を作り、その後ベーキングすることにより発泡させ、凹凸感のある毛織物を試作した。
はじめに
消費者ニーズの多様化に伴い、特殊染色仕上加工に対する技術開発はますます要求が強まっている。
この特殊加工には、色、表面変化を中心とする感性の追求型と、快適性安全性という機能の追求型にわけられるが、ここでは織物表面に従来にない凹凸感を出すことを目標とした。
そこで、近頃、Tシャツやトレーナー、あるいはレストラン、ホテルなどの壁紙にみられる発泡樹脂について検討することにした。
本研究にて使用した発泡樹脂は、熱可塑性樹脂と、低沸点溶剤を熱可塑性樹脂でカプセル化したカプセル型発泡剤からなり、これを、塗布または印刷後加熟することにより、文字や模様が膨張して立体化するものである。
発泡塗膜は、ソフトで暖かい感触、ノンスリップ性、断熱性、クッション性、防音・防振性という特長を示すため、上記のような用途以外にも、デコレーション包装紙・紙器あるいは防音・断熱用コーティングとして用いられている。
本研究では、発泡樹脂を毛織物に塗布して樹脂持性を調べるとともに、糸にも樹脂をつけて凹凸感のある毛織物を作ることを試みた。
ニットの接着芯地特性について
はじめに (愛知県尾張繊維技術センター 三輪 幸弘、三谷 和弘、松井 弘)
ニット製品の接着芯地の目的としては、1)伸び止め、2)補強、3)保護、4)厚み感、5)成形性、などがある。その目的、機能、表地などに合わせ、各種の芯地が用いられている。
ニットは、寸法安定性に欠けるなどの問題があるが、ニットの接着芯地特性についての報告は布帛に比べ少ない。
今回、保護、厚み感のための接着中入綿を用いたニットの諸特性について調べたので、その結果を報告する。
まとめ
各種の組織のニットに、芯地として接着中入綿を用い、その諸持性を調べた。
その結果、以下のことが明らかとなった。
1)各試料の密度の差が、剥離強さの差になっている。
2)原布も接着布も、荷重1gf/cmをかけ吊り下げると直ちにほとんど伸びてしまい、時間の影響は小さい。
3)原布と接着布では、せん断特性と曲げ特性に大きな差がある。
4)保温性は、厚いほど、通気度が小さいほど高い。