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人材育成事業

翔工房・学生のアイデア×匠の技

-平成24年度翔工房レポート-

No.1 プレゼンテーション~参加学生の決定
No.2 第1回合同打ち合わせ会(施設見学)
No.3 工場見学(紡績・糸染)
No.4 素材製作(織り)
No.5 第2、3回合同打ち合わせ会
No.6 第4回合同打ち合わせ会
No.7 翔工房作品展&発表会

1  <プレゼンテーション~参加学生の決定>

翔工房事業の実施にあたり、ファッション系学校を経由して参加学生を募集したところ、9校24名の参加希望学生から、デザイン画やテキスタイルのイメージマップが提出されました。
匠ネットワーク講師に予め提出物をご覧頂き、5月25日FDCにおいて、応募学生が匠ネットワーク講師に直接提案する機会としてプレゼンテーションを開催しました。
それぞれの応募学生は自身が作成した提出物について、自分の言葉で補足しながら、ものづくりに対する熱い想いをぶつけました。
匠ネットワーク講師はプレゼンテーションの熱気冷めやらぬ中、それぞれの学生の提案について、テキスタイルの技法や費用面等の実現性の観点で、1つ1つの作品を吟味し、最終的に23名の参加学生を決定しました。




○匠ネットワーク講師の感想
・学生は織機等設備の構造を知らないからこそ、斬新な発想が生み出され、とても刺激になる。
・今後現場を直接訪問し、製造工程を間近で見ることで、見聞を広め、素材の可能性を追求して欲しい。
・トウモロコシや青魚のウロコ、ダルメシアン等の具象から、「光」や「空」等の抽象的なものまで幅広く、学生らしい世界観が素晴らしものづくりの原点である。尾州の技、魅力を落とし込み、「今」のイメージ以上のものができるよう二人三脚で進めていきたい。

2  <第1回合同打ち合わせ会(施設見学)>

第1回合同打ち合わせ会では、先日のオリエンテーションで決まった23 名の学生と指導する匠ネットワーク講師が初顔合わせをしました。
翔工房についての説明に続き、尾張繊維技術センターの施設を見学しました。糸・織り・染色・検査と糸から生地になる工程を順番に見ました。
見学の後、いよいよ匠ネットワーク講師との具体的な打ち合わせに。学生と講師は、生地の色・風合いなどのイメージ・今後の進め方について、糸や生地の見本を見ながら話し合いました。
今後、打ち合わせが進むにつれイメージが具体化し、テキスタイルの製作工程へと進んでいきます。どのようなテキスタイルが完成するか楽しみです。

○受講学生の感想
・コスト面を考えて一から考えることがこんなに大変だとは思いませんでした。
・自分の考えていたテキスタイルが、実物の布と照らし合わせて少しイメージが具体化してきました。
・自分の思いを伝えることはとても難しいのだと改めて思いました。
・自分のデザイン画からかなりのことを感じてもらえて、スムーズに進みました。
・去年の作品を見ると、デザイン画よりも良くなっていました。講師と仕事をしていくうちにアイデアがわいたそうです。これから講師と交流する中で私の中でも新たな見解が得られることを願います。



3  <工場見学(紡績・糸染)>

紡績工程と糸染工程の工場を見学しました。5人の学生が参加しました。
糸は、言うまでもなく生地の素材となるもので、オリジナルの生地を作るためには、糸による差別化は欠かせません。
紡績工程の東和毛織では、DVDで工程について予習した後、実際に羊毛から糸へとなる工程を見学しました。糸染工程の茶仙染工では、紡績工程で出来た糸を染める工程を見学しました。
学生たちは、匠講師の説明によく耳を傾けながら、糸が作られていく様子をじっくり見学していました。

○受講学生の感想
・翔工房を通じて現場の生の様子を見ることができてよかった。
・夏場の染色工場はとても暑く、大変だと感じた。
・染色も紡績も高齢化が進み、若い働き手が少ないということがわかりました。



4  <素材製作(織り)>

これまで講師と打ち合わせて膨らませたイメージをいよいよ具現化する作業です。川出毛織の製織工場で織り付けを行いました。

○受講学生の感想
・これまで、サンプル等の小さいものでしか確認できませんでしたが、実際に出来上がっていく工程を間近で見ることで、当初のイメージに一層近づいたものになっていることを実感しました。



5  <第2、3回合同打ち合わせ会>

夏休みを中心に匠講師と二人三脚で進めてきたものづくりも、秋口には完成の時期となります。
2回目、3回目の合同打ち合わせ会では、23名全員が無事?に完成した素材を他の参加学生、匠講師間で共有しました。
自身が膨らませたイメージを匠講師と共有し、生の現場を通じて完成させたこの世に一つしかない素材について、学生自らが説明しました。苦労した点や新たに学んだ点だけでなく、匠講師をはじめ協力された各工程の方々へのお礼等、ひとつのものづくりを通して率直に感じ取った思いがひしひしと伝わってきました。



6  <第4回合同打ち合わせ会>

10月から12月にかけて、当初製作したデザイン画に基づき、ガーメント製作に励みました。素材の特長を引き立たせられるかどうかは、ガーメントの出来によって大きく変わってきます。
1月、完成したガーメントを第4回打ち合わせ会で発表しました。素材の完成までを見届けた匠講師も、想像以上に素材の魅力を引き出すことができたガーメントを見て、喜びもひとしおです。ひとつの作品を生み出すまでの苦労が報われる瞬間です。



7  <翔工房作品展&発表会>

いよいよ翔工房事業のフィナーレを飾る総合展「THE 尾州」での作品展&発表会。23体全ての作品を多くの来場者された方へご覧いただくことができました。
2月21日に行われた発表会では、ステージ上でマネキンでの発表や、ファッションショー形式での発表に合わせて、学生、匠講師が登場し、学生によるプレゼンテーションも行われました。
自身の想いを自分の言葉で外部に発信することも翔工房事業の特徴であり、学生にとっては貴重な経験となることでしょう。

神部 詩央里(京都造形芸術大学)×森講師
<あずさい>


柴田 玲(川島テキスタイルスクール)×飯田講師
<光風>


岡本 らら(川島テキスタイルスクール)×渥美講師
<KOROMO>


黒崎 美曜(川島テキスタイルスクール)×飯田講師
<キノコ>


石川 瑠裏子(名古屋芸術大学)×足立講師
<リリィ>


永川 承美(名古屋芸術大学)×渡邉(文)講師、渡邉(忠)講師
<wool wool wool>


安藤 美早(名古屋服飾専門学校)×森講師
<森の妖精>


青木 南美(名古屋ファッション専門学校)×長谷川講師
<ラムネ>


鈴木 円香(愛知文教女子短期大学)×飯海講師、足立講師
<肉球ワンピ>


則竹 加奈子(愛知文教女子短期大学)×河路講師
<アイスクリーム>


山口 成美(名古屋ファッション専門学校)×長谷川講師
<イチョウのじゅうたん>


長瀬 里香(愛知文教女子短期大学)×小澤講師
<Dalmatian>


森 沙織(名古屋ファッション専門学校)×水谷(透)講師
<トウモロコシ>


水野 優美(京都造形芸術大学)×水谷(仁)講師
<ギャップ>


後藤 玲奈(中部ファッション専門学校)×渥美講師
<NATURAL SUIT>


岡田 李(中部ファッション専門学校)×渡邉(忠)講師
<ユニオンチェック>


谷川 莉菜(中部ファッション専門学校)×足立講師
アイヌ民族


天野 友美(名古屋服飾専門学校)×渡邉(忠)講師
<砂漠>


中村 和貴(名古屋モード学園)×濱田講師、渥美講師
<花束>


田畑 里歩子(名古屋服飾専門学校)×門倉講師
<sora>


水野 万里(岐阜市立女子短期大学)×水谷(仁)講師
<変幻>


山口 幸子(名古屋モード学園)×川村講師
<クリオネ>


柳原 由圭(岐阜市立女子短期大学)×川村講師
<光を着る>


水谷(仁)副会長のあいさつ

今年度の翔工房はこの作品展&発表会をもって一つの区切りを迎えますが、それぞれの学生にとっては、通過点に過ぎません。翔工房での経験を活かし、近い将来、ファッション・繊維産業で活躍していくことを期待しています。
最後に、匠講師、学校関係者をはじめ、学生の工場見学を快くお引き受け下さったり、各製造工程の生の現場を開放して下さった尾州産地企業の皆様、その他翔工房事業の趣旨をご理解いただき、ご協力いただきました皆様、誠にありがとうございました。

パンフレット(イメージ&完成テキスタイル)①
パンフレット(イメージ&完成テキスタイル)②
一宮市の映像広報で翔工房事業が紹介されています。