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人材育成事業

翔工房・学生のアイデア×匠の技

-平成27年度翔工房レポート-

No1. 平成27年度翔工房始動!

No2. 施設見学

No3. 東和毛織㈱見学

No4. 第2回合同ミーティング

No5. 第3回合同ミーティング

No6. 作品発表会「翔 the SHOW2015」

No7. 作品一覧

1  < 平成27年度翔工房始動! >

 今年度は、昨年度を上回る16校36名の応募がありました。「応募してくれた学生を全員参加させてあげたい!」というのが匠講師の本当の想いです。しかし、匠講師は、15名。どうしても指導出来る学生の人数は、限られます。匠講師の書類審査をする目は真剣そのもの。悩みに悩み、考えに考えてプレゼンテーションに進む学生を24名に絞りました。
 
 6月11日に行われたプレゼンテーションでは、学生が自分の考えたアイデアを匠講師に直接伝えました。プレゼンテーション用に作成した資料を手にこんなものを作りたい!と伝える学生に対し匠講師から、様々な質問が飛びました。プレゼンテーション終了後、匠講師による最終審査を行い、24名の学生の参加と担当の匠講師が決定しました。
プレゼンテーションの際には、昨年度の翔工房に参加していた学生の一人が後輩のプレゼンテーションの付き添いとして、京都から来てくれました。「翔工房に参加して、より自分の作りたいものが具体的になって、今、個展の準備をしています。」と話してくれた彼女。担当していた匠講師も久しぶりの再会を喜んでいました。こうやって学生と匠講師との交流が続いていくこと。とっても素敵なことだなと感じた出来事でした。
 
 
 6月26日には、第1回合同ミーティングを行いました。ここで初めて担当の匠講師と学生の顔合わせです。まずは、繊維の基礎知識の講座を、FDCインパナ塾コーディネーターの野田先生より行い、その後、尾張繊維技術センターの施設見学を行いました。
 
 技術センター見学後は、岐阜のマテリアルセンターにお邪魔し、たくさんのハンガーサンプルの中から、学生が作りたいイメージに近い生地を探して、打ち合わせ開始です。「イメージに合ういい生地は見つかった?」と声をかけると、はい!と嬉しそうに手にしたハンガーを見せてくれる学生や、「こんなにたくさんの資料を見るのは初めてです!」と楽しそうに話してくれる学生。そんな彼女たちの顔を見ていると、どんな生地ができるのかな?と今から私も楽しみです。一人一人、納得した生地、ガーメントが完成するように、サポートしていけたらなと思います。
 

2  < 施設見学>

 第1回の合同ミーティングを経て、匠講師と学生とのマンツーマンのものづくりが始まりました。出来上がりのイメージから糸の種類、色、織り・編み方を決めていきます。話し合いの様子を見ていると、匠講師が、学生が専門用語を理解出来るようにかみ砕いて説明していたり、学生が抱く素朴な疑問に答えたりと、話し合いの時間はものつくりの方向性を決めるための時間というだけでなく、匠講師が持つたくさんの知識を学生が吸収していく時間でもあるのだなと感じます。
 翔工房では、匠講師が担当している学生を実際に自分の生地を作っている現場を見られるようにと、個別に工場見学などにミーティングに合わせて連れて行ってくださっています。先日、東京から参加している学生が自分の糸を染色してもらうところを見学に行くということで、同行しました。
 お邪魔したのは、一宮市内の尾泉染色㈱。糸を絣染めする様子を見学させていただきました。かせの状態で準備した糸を5色に染め分けをします。1度に染められる糸の量は2kg。絣染めの機械に糸をセットし、1回2分ほどで染め上がります。
 
 
 原糸があっという間に5色に染まりました。染め上がった糸を見た学生は、「あんなにくっきりと5色に染め分けられると思っていなかったので驚きました。」と話してくれました。シンプルな梳毛の糸、糸の太さが変化するスラブの糸、毛羽立ちのある糸の3種類を染めました。染める色は同じ色ですが、糸によって厚みが変わるのでセットする場所を微調整して、均等に染色液が入るようにするそうです。機械に入れて染める時間は2分ほどですが、その染めの作業をするには、機械にセットしやすいように糸の準備や染料を計量し必要な染料の準備、染色機の準備と約半日を準備の時間に費やすとのこと。たくさんの糸を染めるのも、少量の糸を染めるのも、同じ準備が必要だそうです。夏の時期は染めた糸がすぐに乾燥してしまうため、より効率よく作業をおこなわなければならないこと、またウールの糸は化繊の糸に比べて準備に時間がかかることなどを職人さんが教えてくださいました。
 染め上がった糸は、指示書通りの色に染まっているか、また、染まってない部分がないかを確認し、滲んでしまっている部分は、手作業で色を落としていきます。その後は、大きな釜の中に染めた糸をセットし蒸しの作業です。この後、乾燥させて糸の完成です。「完成した糸を見るのが楽しみです。」と話してくれました。見学を終えた後、匠講師が学生に、「次回のミーティングの時には、完成した糸が編み機にかかっているところを見せてあげられるように準備しておくね。」と話していました。どんな生地が出来上がるのか楽しみです。
 
 

3  < 東和毛織㈱見学>

 今回は、一宮市内にある紡績工場の東和毛織㈱を見学しました。
 東和毛織㈱は創業が明治30年と大変歴史のある企業で、通常の織糸やニット糸に加えて、様々な種類の意匠糸を製作しており、ウール以外のアルパカやモヘアなどの特殊な原料も取り扱っています。
 工場に着いた学生達は、最初に翔工房の講師を務め、匠ネットワークのメンバーでもある東和毛織㈱の渡邉文雄会長から、東和毛織㈱の概要とこれから見学する紡績工程の説明を受けました。渡邉会長はショールームの中にある様々な見本を手にしながら学生に向けた説明を丁寧に行い、学生達も熱心にメモを取っていました。
 
 いよいよ工場見学です。引き続き、渡邉会長の説明のもと、工場に入荷されたトップの状態からコーミングや前紡工程、精紡工程を経て糸になっていく様子を見学しました。また、今や希少な機械となった英式紡績機や意匠糸の製造工程も見学しました。工場内には、様々な機械がところせましと並んでおり、息苦しい蒸し暑さの中で工員の皆さんが作業をしていました。
 
 今回の見学では、複雑に分かれていて難しい紡績の工程を、実際に動く機械を見ながら学べることで、より深く知ることができたとともに、産地の工場で働く方々の苦労を体感することができました。
 夏休みに入り、学生達も本格的に生地製作に取り組んでいます。暑さで体調を崩したりせずに、頑張っていい作品を作って欲しいです。

4  < 第2回合同ミーティング>

 10月22日に第2回合同ミーティングを行いました。今回のミーティングでは、製作したテキスタイルのプレゼンテーションを行いました。6月に行なった第1回の合同ミーティングから約4ヶ月、匠講師と学生がマンツーマンで作り上げたテキスタイルが完成しました。
 完成したテキスタイルを手にしながら、学生のみなさんが製作時の様子を話してくれました。いろんな感想が聞かれる中で、「匠講師との話し合いの中で当初考えていた技法とは違う方法に変更した。」という感想や、「ボーダー柄を作るのは簡単だと思っていたが、ボーダーの幅を考えてバランスよく見えるようにすることが難しかった。」「仕上げ加工で、思い通りの生地により近付いて嬉しかった。」といった匠講師の技術に驚いたという感想から、「手染めの作業を体験した。大変だったがとてもよい経験になった。」「裏の糸を自分で切る作業をした。とても大変だった。」という自分の手で作業をしたことでテキスタイル作りの苦労を感じたという感想、また「ガーメント製作をする際に、また自分で加工を加えてみたい。」「ガーメント製作が楽しみ。」とこれからのガーメント製作に向けての抱負を話してくれる学生がいました。
 
 
 一方、学生を指導した匠講師からは、「製作費用がかかりすぎるので、技法を変えて予算内に抑えるようにした。」「絣染めをすると、どうしても色が一カ所にかたまり、柄のように見えてしまうので、織りを工夫した。」「多色使いは難しいが、よりそれぞれの色がキレイに見えるように色を選んだ。」「ガーメントになったときのことを考えて色や糸使いを変えるようにアドバイスした。」といった、長年テキスタイル製作を続け、経験を重ねた匠講師だからこそ、企画の段階で出来上がりの生地をイメージすることができ、より学生の作りたいものに近づけるようにと、アドバイスをたくさんしてくださったのだなと感じました。
 
 
 合同ミーティング後には、㈱ソトー一宮事業所にて合同見学会を行いました。はじめに、会社概要をお話いただいた後、映像を見ながらわかりやすく、染色整理の流れをご説明いただきました。その後、実際に工場の中を見学させていただきました。一つ一つの機械の前でどのような加工ができる機械なのかをご説明いただきながら、検反して出荷されるまでの流れに合わせ約1時間工場の中を見学させていただきました
次回のミーティングでは、完成したテキスタイルで製作したガーメントの発表を行います。学生のみなさんには、約3ヶ月間ガーメント製作を頑張ってもらえたらと思います。どんなガーメントに仕上がってくるのか楽しみです。
 
 

5  < 第3回合同ミーティング>

 1月15日に第3回合同ミーティングを行いました。今回のミーティングでは、完成したガーメントのプレゼンテーションと2月に行う総合展「THE尾州」での作品発表会についての説明を行いました。
 まずは、ファッションショー形式の作品発表会「翔 the SHOW 2015」の説明を行い、演出担当の方からショーでの動きについて説明をしていただきました。その後、一人一人製作したガーメントのプレゼンテーションを行っていきました。
 
 
 前回の合同ミーティングから約3ヶ月。この日、製作したテキスタイルがガーメントになった姿を初めて見る匠講師。そんな匠講師からは「上手に仕立てたね!完成度が高いね!」という学生の努力を褒める言葉が聞こえてきたり、「こんな風に生地を切り替えて使ったのだね、面白いね!」と学生のアイデアに感心していたりと、様々な感想が聞かれましたが、どの講師も、約10ヶ月かけて完成した作品を嬉しそうな表情で見ている姿が印象的でした。
 
 
 また、学生からは匠講師とともに時間をかけ完成させたテキスタイルを、大事に使いたい!生地を無駄にしないようにしたい!という思いから「あまりハサミを入れたくなくてアイロンでくせ付けをすることでダーツを入れずに仕立てた。」「生地の裏側がキレイで、あえて裏側が見えるように使った。」「ほつれにくい生地の特性を利用して、端処理をせずにわざと切りっぱなしにしにして使った。」といった仕立ての方法を工夫したという声が多く聞かれました
 このような思いやアイデアが生まれるのは、匠講師の指導のもと一からテキスタイルを製作し、製作工程を見学することで、どのように生地が作られ、そこにどれだけ人の手がかかっているのかを実際に目にし、一つの生地がどれだけ価値のあるものであるかを感じたからだと思います。翔工房に参加し、匠講師をはじめとした尾州の職人の技を見て感じたこと、そして、そこから得た知識や経験を今後に生かしていってもらえたらいいなと思います。
 
 
 プレゼンテーション後には、「作品提出期限まで、もう少し改善したい!!」と話してくれる学生が多くいました。総合展まであと1ヶ月、学生にはそれぞれ自分の納得のいく作品を完成させてほしいなと思います。翔工房作品は常設展示も行います。学生それぞれの努力の成果をより近くでたくさんの方に見ていただけたらいいなと思います。 翔工房作品発表会「翔 the SHOW 2015」は、2月25日(木)午後2時より一宮市総合体育館いちい信金アリーナBにて開催します。ぜひお越し下さい。

6  < 作品発表会「翔 the SHOW2015」>

 2月24日から26日まで行われた総合展「THE尾州」で常設展示、そして2月25日には、作品発表会及びファッションショー「翔the SHOW2015」を行いました。書類審査から約10ヶ月、匠講師とともに作り上げた生地がガーメントに仕上がりました。完成した作品を見ていると、表には見えない部分まできちっと縫製と始末がされていたり、すごく凝ったパターンを引いたことが形から想像できたりと作品の細部から、学生一人一人の努力が見えてきます。
 
 作品発表会当日、まずは総合展の会場内を簡単に案内し、その後リハーサルを行いました。 リハーサルでは、モデルを務めてくれる製作者の友人の動き、そして製作者である学生の発表の際の立ち位置などを確認していきました。リハーサル終了後は、昼食をとりながらフィッティングとヘアメイクをし、ショー本番に備えました。
 
 
 375名の観客の方が見守る中、ショーがスタートしました。衣装のイメージごとに6グループに分かれて、それぞれに合わせた音響や色とりどりの照明の中、モデルがランウェイを歩いていきます。
 その後、壇上に製作者である学生と匠講師が揃って登場し、自身の作品や製作にあたって学んだこと、苦労したこと、匠講師への感謝の気持ちなどを発表していきました。
 
 
 ショーの最中のバックステージでは、自分の出番が来るのを、少し緊張した様子で待っている姿が印象的でした。全てのグループの発表後はフィナーレで製作者と友人モデル全員が1列になってランウェイを歩きました。 フィナーレを終え再びバックステージに戻った学生の表情を見ていると、緊張も解け、生き生きとした笑顔が溢れていました。ショーを見た観客の方からは、「年々レベルが上がってきている!」というお褒めの言葉をたくさんいただきました。10ヶ月間の集大成の作品発表会が素敵なショーになってよかったなと思います。ショーの観覧には、生地製作で学生がお世話になった企業の職人の方の姿も見られました。お力を貸してくださった尾州の職人の方々に見ていただけて製作した学生もとっても喜んでいました。今年度の翔工房事業にご協力いただいた企業のみなさま本当にありがとうございました!来年度もぜひ、よろしくお願いいたします。
 
 
 
 発表会終了後には、懇親会を行いました。ショーと発表会を無事に終え、学生と匠講師がリラックスした雰囲気の中、楽しそうに談笑する姿が見られました。翔工房を通して生まれた匠講師との交流、そして他校の学生との交流をこれからも続けていってもらえたらいいなと思います。
 
 今年度の翔工房を終え、生地作りをマンツーマンで指導した匠講師からは、学生と一緒にテキスタイル製作をしながら、自分自身も毎回学ぶことが多いという声がきかれました。それは、テキスタイル製作を初めてする学生だからこそ、固定観念を持たず、純粋に自分の作りたいもののアイデアを匠講師にぶつけてくるから。匠講師はそんな思いを受け、そのアイデアがどうやったら形になるのかと知識と経験の入ったたくさんの引き出しを開けて知恵を絞ります。その過程は匠講師にとってもとても刺激になるといいます。そんな匠講師と学生との化学反応がこの翔工房の魅力ではないかと思います。また、来年度もたくさんの学生のご応募をお待ちしております!

7  <作品一覧>

 最後に今回参加した学生が製作した全作品を紹介します!
 パンフレットも掲載しましたのであわせてご覧ください!
 パンフレット(イメージ&完成テキスタイル)①(PDF)
 パンフレット(イメージ&完成テキスタイル)②(PDF)

Group 1

 平濱 あかり(広島市立大学大学院) × 渥美 充和講師
<city mosaic>


 渡瀬 あゆみ(川島テキスタイルスクール) × 渡邉 文雄講師・足立 聖講師
<萌黄よせ>


 後藤 真希(明美文化服装専門学校) × 渥美 充和講師
<SEA>


 新山 紗希(中部ファッション専門学校) × 水谷 仁講師
<擬態>


 片山 せいら(京都造形芸術大学) × 長谷川 脩講師
<モザイクの連続>

Group 2

 深谷 美咲(名古屋ファッション・ビューティー専門学校) × 水谷 透講師
<流れ>


 𢎭 祥世(名古屋芸術大学) × 水谷 透講師
<大地を踏みしめて>


 野口 真生(京都嵯峨芸術大学) × 足立 聖講師
<でこぼここけいし>

Group 3

 山田 美咲(中部ファッション専門学校) × 飯田 耕三講師
<Luccica>


 下東 桃子(椙山女学園大学) × 河路 孝講師
<diary>


 木田 楓(愛知文化服装専門学校) × 足立 聖講師
<絵画をまとう>


 小林 愛美(名古屋ファッション・ビューティー専門学校) × 森 良三講師
<藤>

Group 4

 渡井 あかり(川島テキスタイルスクール) × 濱田 良孝講師・水谷 仁講師
<雀色時>


 菅原 美里(名古屋芸術大学) × 飯海 哲郎講師・足立 聖講師
<budgerigar>


 後藤 なつ希(神戸芸術工科大学) × 岩田 善之講師
<重なり>

Group 5

 澤村 果歩(共立女子大学) × 川村 康文講師
<さび>


 加藤 速香(椙山女学園大学) × 川村 康文講師
<折り紙>


 蔭山 弥生(中部ファッション専門学校) × 森 良三講師
<木漏れ日>


 松永 駿(名古屋ファッション専門学校) × 長谷川 脩講師
<晴と雨>


 任 砂耶(神戸芸術工科大学) × 岩田 善之講師
<華の顔>

Group 6

 浅野 秋江(岐阜市立女子短期大学) × 門倉 福雄講師
<木>


 神谷 佑希(名古屋モード学園) × 小澤 賢一講師
<アニマル>


 小林 留奈(名古屋モード学園) × 飯田 耕三講師
 <月光>


 坂本 咲季(大阪モード学園) × 水谷 仁講師
<肉食系女子>